大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和28年(行)60号 判決 1954年2月10日

東京都北区昭和町二丁目八十七番地

原告

原富弥

右訴訟代理人弁護士

池田輝孝

東京都千代田区大手町一丁目七番地

被告

東京国税局長

脇阪実

右指定代理人法務省訟務局局付検事

真船孝允

法務事務官

松本兼幸

大蔵事務官

国吉良雄

大滝浩

中里恒曠

右当事者間の昭和二十八年(行)第六〇号課税処分取消請求訴訟事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

主文

原告の訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

原告訴訟代理人は、「被告東京国税局長が昭和二十八年四月十七日原告の審査の請求についてした、原告の昭和二十六年度総所得金額を金二十万四千八百円と訂正した決定のうち、金十六万七百七十一円を超過する部分を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求め、その請求原因として次のとおり述べた。

原告は王子税務署長に対し、昭和二十六年度所得税に関し、原告の同年度総所得金額を金十六万七百七十一円として確定申告をしたところ、王子税務署長は昭和二十七年五月十五日右金額を金二十五万六千二百円に更正する旨の決定を行い、原告に通知したので、原告は王子税務署長に再調査の請求をしたが、これを棄却された。そこで原告は更に被告東京国税局長に対し審査の請求をしたところ、被告は昭和二十八年四月十七日原告の総所得金額金二十二万四千円を金二十万四千八百円に訂正する旨の決定をし、原告は同年四月二十五日その通知を受けた。

被告のした右決定のうち、原告が申告した金額を超える部分は違法であるので、その取消を求める。

かように述べ、「乙号各証のいずれも真正にできたことを認める」と述べた。

被告指定代理人は、まず主文通りの判決を求め、その理由として、「原告は本訴において被告のした審査決定の一部取消を求めているが、原告は昭和二十八年四月十九日右決定の通知を受けているにかかわらず、その日から三カ月を経過した後である同年七月二十五日に本訴を提起している。従つて本訴は所得税法第五十一条第二項に違反する不適法な訴である。」

と述べ、

次に本案につき、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求め、答弁として、

「原告が昭和二十六年度所得税に関し王子税務署長に対してその主張の通りの確定申告をし、同署長が原告主張の日その主張の通りの更正決定をしたこと、これに対し原告が再調査の請求をし、これについてされた決定に対して原告から被告に審査の請求があつたので、被告は昭和二十八年四月十七日原告主張通りの決定をして原告に通知をしたことは認めるが、その他原告の主張する事実は否認する。

王子税務署長が原告の再調査の請求についてした決定は、原告が主張するように原告の請求を全部棄却するものではなく、前にした更正決定を一部取り消して、原告の所得金額を金二十二万四千円と決定したものである。また原告が被告の審査決定の通知を受けた日は昭和二十八年四月二十五日ではなく、前記の通り同月十九日に原告はその通知を受けた。」

と述べ、

証拠として乙第一、二、三号証を提出した。

理由

真正にできたことにつき争いのない乙第一、二、三号証によれば、原告は被告が原告の審査の請求につき昭和二十八年四月十七日にした決定の通知を同年同月十九日に受領したことが明らかである。

本訴は被告のした右決定の一部取消を求めるものであるが、同年七月二十五日に至つて初めて本訴の提起のあつたことは当裁判所に顕著である。すなわち本訴は審査の決定の通知を受けた日から三カ月を経過した後に提起されたものであつて、所得税法第五十一条第二項に定められた出訴期間を徒過してされた違法があり、不適法として却下を免れない。

よつて、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟特例法第一条、民事訴訟法第八十九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 新村義広 裁判官 入山実 裁判官 石沢健)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例